咳をしても一人 音楽れびう 忍者ブログ
孤独な趣味の世界
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ギル・スコット・ヘレンの訃報を目にした。享年62歳。
ハーレム・ルネッサンスの後継者、ヒップホップの先駆者。その重要性は改めて説く必要もないほどの偉大なシンガー、路上の詩人、「ブルージシャン」であるが、僕は代表作と呼ばれるものを何枚か持っているだけで、決して彼の熱心なファンではない。しかしながら昨年DVDで出た往年のライヴ映像にはぶっ飛ばされたばかりであったし、以前"The Revolution Will Not Be Televised"を和訳してみたこともあったので、突然の訃報には驚いた。ヨーロッパ旅行からの帰路上で体調を崩し入院していたらしい。Rest in peace.




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 もう1月もすでに終わり、まあ年越しを挟んで旅に出ていたにしてもすでに帰国してから2週間たってるし今さらという感がありありとしているのだけど、どうせ読者の極端に少ない個人のレビューブログなんだから別にかまわないだろうということで鮮やかに無視して、ここらで昨年の僕と音楽の関係を振り返ってみよう。
Darwin's Theory - Darwin's Theory 2010年という年は、僕のなかではレアグルーブに本格的にのめり込みだした年として特徴づけられるかもしれない。それはおそらく、その過去の優れた音楽を掘り起こす温故知新の精神が手放さないアナログへの執着が、夏が始まるころに、僕が一人暮らしを始めるときに兄から譲り受け、合計すると7年の長きにわたって酷使され続けたCDプレーヤーがおシャカになったという個人的な事情とマッチしたということもあるのかもしれない。そういうわけで、昨年一番繰り返し聴いたアルバムは、この『ダーウィンズ・セオリー』で間違いないだろう。非常にのんびりとしたペースでいつも優れた再発を提供してくれるアメリカのロータス・ランドが満を持して発表した本作は、78年にダーウィン・ジョーンズという人物を中心にスライ・ストーンのプライベート・スタジオにて録音されたまま世に出ることなく眠っていた珠玉の音源をコンパイルしたものなのだか、低音がやけに強調された店頭の視聴機で"Keep on Smiling"のウネり跳ねるベースと喜びに満ちたコーラスを初めて耳にしたとき、僕はその場で膝から崩れ落ち感涙にむせび泣き始めるのを紙一重でなんとかこらえ、そのまま勇み足でレジへと向かったのだった。この他にもザ・ジョン・ダンサー・オクテット『ザ・ダンサーズ・インフェルノ』、マシュー・ラーキン・カッセルのコンプリート盤、ザ・ブリーフ・エンカウンターのセルフタイトル・アルバムなど、素晴らしい作品が目白押しであった。
 しかし、こうした過去の幻の音源たちを、いくらそれが数十年の時を経て再び、あるいは初めて巷間に問われたからといって、「2010年の音」として取り上げるのは、やはりいくらかつらいところがある。ならばリイシューではなく、新たに制作され発表された新譜のみを見た場合どうかというと、僕自身決して熱心なリスナーではなかったためこう言うのは少々はばかられるのだが、特にこれといった作品もなく、なんともぱっとしない一年だったという印象である。
Sade - Soldier of Love 特にガッカリしたのはシャーデーの10年ぶりの新作『ソルジャー・オブ・ラヴ』。その落胆は先行シングルでタイトルトラックの"Soldier of Love"に多くを負うのだけど、それというのも、前作『ラヴァーズ・ロック』で頭にガツンと一撃くらって以来シャーデーのディスコグラフィーを網羅しその音楽を聴き続けた者としては、いくらなんでも流行に迎合しすぎだという気がしたし、相変わらずシャーデー・アデュが素晴らしい歌声と美貌を保っているのはわかったにしても、51歳にもなってミリタリー・ダンスを披露しジャケットでは大胆に背中を露わにする姿(18年前の『ラヴ・デラックス』におけるヌードとはまったく意味が異なるというものだろう)に痛々しさを感じずにはいられなかったのだ。アシッド・ジャズというかつての流行の最先端からキャリアをスタートさせたシャーデーは、リSade - Lovers Rockリースの周期が長くなるにつけ時代を超越した孤高のバンドとでもいった趣きを帯びるようになっていったが、下世話な話、存在が大きくなるほどマーケットを無視できなくなるという側面はあるのだろう。前作の成功も、その裏にソウルクエリアンズらの活躍に代表されるようなネオ・ソウルの見直しという大きな流れがあってのことであろうし、そう考えるとジャンルの垣根がいっそう低くなりR&Bにおいてもエレクトロ旋風が巻き起こった2010年というのは、彼らにとって決して良いタイミングではなかったのではという思いがしてくるのだ。実際に今作を改めて聴いてみるとそれほど悪くはないのだが、前2作の名盤に比べるとどうしても緊張感に欠けてしまうし、1曲たりとも、"Kiss of Life"や"By Your Side"に匹敵するようなものはない。前年の2009年にマクスウェルがシャーデー・サウンドのキー・メイカーであるステュアート・マシューマンから離れてあれだけ優れたアルバムを出していただけに、いっそう残念に感じてしまうシャーデーの新作なのであった。
e97a200e.jpg シャーデーのこととなるとつい饒舌になってしまうが、昨年は他にもドゥウェレやビラルなど僕が日頃から追いかけているネオソウル周辺のリリースはあったが(どちらも決して悪くはないが特別良くもなかった)、2010年ベスト・アルバムを決めるならば毎回間違いないブツをリリースしてくれるストーンズ・スロウから出たアロー・ブラックの『グッド・シングズ』になるだろう。先行シングル"I Need A Dollar"の堂々たる態度も良かったし、オーセンティックなソウル・マナーを披露したかと思えばヴェルヴェッツのカバーなんて意外な飛び道具使ってきたりと、非常に楽しめるアルバムである。近年の正統派ソウルとしてはアンソニー・ハミルトンの2ndアルバムと並ぶといっても過言ではない、かも。
 ベスト・シングルとしては、上のアロー・ブラックと迷うところだけど、ジミ・テナー&トニー・アレンの"Selfish Gene"を選びたい。旅のあいだも、ネットカフェに入ってはよくYoutubeでこの曲を聴いたものだったから。

Jimi Tenor & Tony Allen - Selfish Gene
The Oscillation 『Out of Phase』 2007年


 音楽には時を封じこめる力があるらしい。
 耳にするたび、それをよく聴いていた当時の記憶、感情や情景、質感、匂いまでを思いださせる曲というのを、だれしもひとつやふたつは持っているはずだ。そうしたものはたちまち人をメランコリックなノスタルジーに浸らせる訳だけれども、まあ過去に埋没するでもなく古い写真のようにたまに開いては楽しむというのがきっと大人の嗜みというものだろう。
 ジ・オシレイションのこのアルバムはいかにも暗いエレクトロニカといった内容なのだけど、これが出た2007年といえば僕にとって上京した年にあたるわけで、その年の特に今頃は一人暮らしの寂寥を慰めるためか、そういったエレクトロニカやシューゲイザー、ポストロックなどをよく聴いていたのだけど、その中でも繰り返し何度も聴いたのが、ジュリアン・コープスのカバーだというこの「ヘッド・ハング・ロウ」という曲。あの年の今頃は今年よりもずっと寒くて、よく雨が降っていた気がするなあ。

The Oscillation - Head Hang Low


All is lost
In bright confusion
Once that loss
Was far away
Frightened man
In deep division
Frightened man
With head hang low

すべては失われる
鮮やかな混乱のなかに
いちど失われたものは
はるか彼方
隔壁の奥で
男は怯えている
低く頭をうなだれて

You may sit alone like me
But, please, don't sit alone like me
My world's very beautiful today

頼むから ぼくのように
ひとり孤独に座すなんて真似はやめてほしい
世界は今日、こんなにもぼくに美しいのに

Patron saint
Of lost illusion
Come and paint
My world in grey
I am lost
With no companions
All are bowed
With head hang low

きえ去った幻の
守護聖人よ
ふたたび顕れ、
世界を灰に染めよ
ぼくはひとり
迷いこんでしまった
なにもかもが撓み
低く頭をうなだれている

You may sit alone like me
But, please, don't sit alone like me
My world's very beautiful today

頼むから ぼくのように
ひとり孤独に座すなんて真似はやめてほしい
世界は今日、こんなにもぼくに美しいのに
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